県下の南流する川で、天然イワナが生息するのは、千種川だけ

イワナの棲む小川昭和五十四年、「兵庫県下の南流する川でイワナがいるのは千種川だけ」という話を聞いた。

いやいや、隣(岡山県西粟倉村)の吉野川にもいるし・・・・などと、イワナが棲んでいる事に何の疑問も持っていなかったことを思い出す。 時が過ぎる中、同様の話を耳にする。「あの話は本当?本当であればなぜ千種川だけに」という疑問も出来ていた。 そして今回、その疑問を解く鍵の一つとして、広島大学の河合幸一郎教授の研究に注目した。

千種川のイワナは日本海側の千代川水系から、直接あるいは吉井川水系を介して、断層活動に由来する河川争奪等の地形変動や高層湿原等などを巧みに利用して侵入してきた可能性がある。

広島大学 生物圏科学研究科 教授 河合幸一郎

 ※千代川:源は鳥取県智頭町、江浪峠・三室山を越えた八東川などの支川を合わせ日本海へ注ぐ一級河川
 ※吉井川:峰越峠を越えた吉野川などの支川を合わせ岡山平野へと南流する一級河川

「千種川だけ」はさておき、瀬戸内に流れる川でイワナが棲んでいるのは珍しいとされる中「なぜ千種川にイワナがいるのか」を鑑みたとき、これが答えだと思えた事柄がある。

湿原の池

左の画像は ちくさ湿原、このような湿地帯が岡山との県境、峰越峠付近にも見られ(県道整備前には道のすぐ側に)、また鳥取との県境にある天児屋山(てんごや山)1245m の山頂にも存在すると聞いている。
地図 天児屋山
水流が途切れてもなお上流にイワナを見てきた自分には、「高層湿原等などを巧みに利用して侵入」は、「目から鱗が落ちる」思いであった。
皆さんはどのように感じますか。

イワナと落葉樹

最上段の写真は ちくさ湿原・クリンソウ入園口付近、ちくさ高原の開発前は草木がうっそうと茂るイワナの生息域であった。この水量でも 20cmを超えるのは当たり前の大きさに育っていたのは落葉樹林によるもの、落葉樹が小動物を生み、イワナを育てていた。近辺の針葉樹林に棲むイワナに於いては、今、かわいそうなほどにやせ細っています。
落葉樹林を増やし、イワナを守ってあげたいですね。

“イワナ” のルーツ 第一章・・・でした。

コメント

  1. 沖秀二 より:

    岡山県東部だったか、黒木だったかのイワナは鳥取側から、移入されたものです、昭和30年頃の山陽新聞に載っていると思います。

  2. 森康郎 より:

    低水温の範囲や渓畔林の状況や周辺の天然林率だと、揖保川水系のそれも引原川の方がイワナの生息に向いていそうなのですが、確実な在来種として生息する兵庫の瀬戸内流入河川が千種川だけというのも不思議です。実際90年代以降は誰が放したのか揖保川水系でも引原ダムの上にはイワナが住んでいて、そこそこの大きさのものが釣れるみたいです

  3. 森 真作幸 より:

    岡山淡水魚水族館の人が岡山の岩魚の亜種ニッコウイワナは移入だとブログで書いてあったと覚えてます。岩魚の亜種ゴギは元から居たと言われてますね。
    小さい頃に読んだ釣りキチ三平で、イワナが雨に日に移動するという話が出てた気がします。